EXHIBITIONS & FAIRS

フルフォード素馨個展「Becoming」


Becoming

三島由紀夫著「豊饒の海」を読んだ。
「周囲のひとが個人に影響を及ぼすことはできても、結局自分の感覚や思考の外には、決して出られないのだ」という切実な印象を私に残し、その物語は終わった。

この本に出会う前から、私の中には「世界は思い込みでできている」という感覚があった。結局自分の感じていることは、周りがなんと言おうと、本人にとっては現実なのだ。

「信じられるものは何か」が私のテーマである。
情報、価値、科学、哲学、あらゆる思想。
どれも断言できるものではないのではないか…

ただ私には課題があった。
思想的な問題以前に、自分が信じきれない、というなんとも俗っぽい悩みがあったのだ。
私は何よりも、自分自身を信じられるようになりたかった。

だから私は行動を起こした。

「理想の自分」というイメージを演じ切ることで、より「信じられる自分」になれるのではないか、という仮説に基づき、3つのトレーニング(瞑想、運動、ドローイング)によって、自ら自分を「制作する」というチャレンジを開始したのだ。

私にとってあらゆる制作は、自分の感受している世界を整理するため、さらには自らに気づきをもたらすための行為である。それら整理や気づきは、やがて、自分や他者、主観と客観などの架け橋となると考えている。

今回のプロセスで私は、様々な要素の組み合わせでできている(そしてそれらが常に入れ替わっている)「流動的な存在である自分」と、それとは相反する「なかなか変わることができない自分」というふたつの現象に気づいた。

自分のリアリティ自体が疑うべきことなのかもしれない、と思うと同時に、自分という現象は「自分の理解の範疇を超えたもの」や、「矛盾」をそのままうちに持っているのではないかと感じたのだ。

今回の展示では、1年弱前に開始した「より良い自分を制作する」という、オンゴーイングなプロセスを共有したいと思っている。

自分という幻想を揺るぎないものにするために。


▼Artist


フルフォード素馨
(https://www.instagram.com/jasminefulford/)

1988年神奈川県出身。武蔵野美術大学卒業後、渡英。ロンドン芸術大学大学院修了。
現在は日本を拠点に、主に平面、ときに立体を用いた制作を行う。「Independent Tokyo 2021」にてグランプリを受賞。国内外での展覧会に加え、アパレル雑貨メーカーとのコラボレーションなど、ジャンルを横断して一貫したテーマを探求し続けている。


▼展示会情報

【Date】2026/7/4(Sat) – 7/25(Sat)
【Open】12:00 – 19:00
【Close】Monday
【Location】TERRADA ART COMPLEX II 3F, 1-32-8 Higashi-Shinagawa, Shinagawa-ku, Tokyo 140-0002