督田昌巳　個展

木は、長い時間を生きてきた存在である。
その年輪には、風土が刻んだ痕跡や、目には見えない記憶が宿っている。
督田昌巳は、その静かな声に耳を澄ませるようにして、木と漆に向き合う。

彼の制作は、図面や理念ではなく、手の直感から始まる。
家具制作で培われた構造への理解と、茶の湯によって深化した
「器を使うことで初めて現れる気配」への感受性。
その両者が交差する地点で、督田の作品は形を得る。

木と漆は、時間とともに表情を変える素材である。
艶も、傷も、使い手の生活が刻む痕跡であり、
作品は所有されるのではなく、ともに日々を生きることで完成へ向かう。

督田は、「使う」という行為こそ、
暮らしの中に美が息づく余白であり、
鑑賞と同等の尊い関係性であると語る。

未完の創造ともいえる彼の作品は、
鑑賞と使用の境界を超え、
新しい美との関わり方を私たちに提示している。

▼出展作家

督田昌巳
https://www.instagram.com/masami__tokuda/

▼展示会情報

【Date】2025/11/8 Sat. – 11/22 Sat.
【Open】12:00 – 19:00
【Close】Monday
【Location】TERRADA ART COMPLEX II 3F, 1-32-8 Higashi-Shinagawa, Shinagawa-ku, Tokyo 140-0002

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